たかがいびきとあなどるなかれ!

 

大音響のいびきに、周囲の人はほとほと迷惑顔――こんな光景が笑い話になっていたのは過去の話です。いびきによって本人や家族、周囲の睡眠の質を下げ、迷惑をかけることにかわりはありませんが、その背景にある睡眠時無呼吸症候群といった病気の存在が意識されるようになり、病院を受診することが多くなってきました。慢性的ないびきに、病気の影が感じられるようになったわけです。

 

そもそもいびきには、音の高さや大きさ、連続性などで個人差があり、その日の体調やまくらなどの高さによっても変化が見られます。しかし、その根本的なメカニズムは同じ。空気の通り道である上気道が、何らかの原因で狭くなることにその原因があります。狭いところを空気が通ろうとすることで空気抵抗が生じ、呼吸をしたときに粘膜が振動して音が出るのです。管楽器などで音が出るメカニズムとほぼ同じだと思えば理解しやすいかもしれません。

 

いびきには、散発性と習慣性のものがあります。前者は、普段はいびきをかかないのに、アルコールが入ったり疲れたときに限っていびきをかくというもの。アルコールが入ると、鼻粘膜が充血したり、筋肉が弛緩することでいびきをかきやすくなります。疲労しているときにも、呼吸のバランスが崩れることで、いびきをかくのです。

 

習慣性のいびきとは、寝ているときにはいつもいびきをかいているというものです。この原因としては、もともとの骨格的な特徴(あごが小さい、首が太くて短いなど)もありますが、肥満や睡眠の姿勢、口呼吸などの生活習慣の結果によって上気道が狭められることや、慢性的な耳鼻咽喉科の病気などが挙げられます。

 

起きているときにも呼吸をしているのにいびきをかかないのは、無意識に呼吸の大きさを調整していることと、上気道が狭くなりにくい姿勢を保っているからです。睡眠中仰向けになる人の場合は、気道が舌でふさがれることでいびきをかきやすくなることもわかっています。

 

いびきは、睡眠時無呼吸症候群のサインでもあります。これは、眠っている間に呼吸が止まる病気で、Sleep Apnea Syndromeの頭文字から「SAS」とも呼ばれています。医学的な診断方法としては、10秒以上気道の空気の流れが止まった状態を無呼吸として、7時間の睡眠の中で30回以上確認されるか、1時間当たりに5かい以上確認されれば、睡眠時無呼吸症候群とされています。

 

眠っている間の無呼吸に気づくのは容易ではありません。気づかず適切な検査・治療を受けないまま過ごすことで、睡眠の質が低下することはもちろん、日常生活のリスクが高まる可能性があります。SAS患者による居眠り運転は、非SAS患者の5倍にもなるという調査結果もあるほどです。

 

SASのタイプには2種類あります。上気道に空気を通すための十分なスペースがないために呼吸がとまってしまうものと、脳から呼吸指令が出なくなるタイプです。SAS患者の9割は、気道のスペースが確保できないことが原因になっています。

 

このスペースの狭さくは、「肥満」や「加齢」が原因であるといわれています。性別を問わず発症する可能性がありますので、今までいびきをかいた覚えがなくても、今現在はわかりません。それとなくご家族に尋ねるなどして、ご自分の状態を確かめてみてください。

 

SASである場合は、まず生活習慣を見直し、肥満などの解消を基本に、マウスピースなどを着用した治療を行うことになります。長期間の治療を必要としますので、自分の状態をしっかり認識し、家族の理解を得ることも重要です。外科的手術などもありますが、まずは専門医に相談してみましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群に限らず、呼吸による酸素取り込みを妨げる大きないびきによって、血圧があがったり、糖尿病などの生活習慣病を併発する可能性があります。太り過ぎないよう気をつけてください。また、寝酒などを飲む習慣がある人は、控えてください。口呼吸がいびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こす場合がありますので、なるべく鼻呼吸を行うように意識したり、寝る姿勢などを工夫してみるのもよいでしょう。横向きで寝ることで、気道の閉塞を軽減する可能性もあるからです。

 

質のよい睡眠を確保し、睡眠不足によるリスクを軽減するために、生活環境を見直すことから始めましょう!

 

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