ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法|ベストケンコー薬剤師コラム

自分が他人と比べて汗っかきだと感じたことはありませんか?気付いたらシャツの腋に汗ジミができていたり、臭いが気になりませんか?人前で緊張して手が汗でビショビショだったりしませんか?

そんなあなたは多汗症かもしれません。

多汗症は人よりも汗をかきやすく、場合によってはその汗に伴って強烈な悪臭を発して日常生活に支障をきたす疾患です。多汗症は疾患に悩んでいる本人だけでなく、ワキガなどは周囲の人からも不快に感じられることがあり、現在では積極的に治療することが推奨されています。

今回は、そんな多汗症の特徴や、推奨されている治療方法、おススメの医薬品や制汗剤について紹介していきます。

多汗症とは?

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

多汗症には、全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増加する局所多汗症があります。

全身性多汗症には特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあります。

局所的多汗症も、原因のわからない原発性と外傷や腫瘍などの神経障害による局所性多汗症があります。

原発性局所多汗症では手のひら(手汗)や、足の裏(足汗)、腋といった限局した部位から過剰に発汗を認める疾患です。

一般的にワキガ(腋臭症)といわれる方も、この原発性局所多汗症が原因で起こります。


ワキガ(腋臭症)とは?

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

汗は汗腺といわれる穴から吹き出します。

汗腺には主に2種類あり、エクリン腺とアポクリン腺に分けられています。

エクリン腺はほぼ全身に分布し、気温の上昇や精神的緊張によって発汗を促します。

一方、アポクリン腺は腋窩(腋の下)や外陰部に主に分布し、思春期になると性ホルモンの影響で汗の分泌が多くなります。

ワキガは優性遺伝し、親子ともにあらわれることが多いのですが、日本人などの黄色人種ではその頻度は約10%程度に過ぎません。

白人や黒人ではほとんどの人に多少なりともワキガがあります。

欧米ではワキガは生理現象の1つとして捉えられており、そこまで深刻に考えられてはいません。

しかし、日本を含む一部のアジア諸国では臭いや衣服の黄ばみなどに嫌悪感を抱く人が少なくなく、悩みを抱えている方はかなりの数になります。

そのため日本では、ワキガは予防や治療をすることが推奨されています。


ワキガの原因は?

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

ワキガの臭いの原因は、アポクリン腺から分泌される汗の中に含まれている脂肪酸が皮膚に存在する細菌によって分解されることでできる3-メチル-2-ヘキセン酸(TMHA)です。

このTMHAは別名でカプロン酸とも呼ばれており、ヤギが語源となっています。

その語源がヤギからきていることを示すように、TMHAはヤギの体臭のような特徴的な悪臭を発します。

ワキガの人はこのTMHAを分泌するアポクリン腺が他の人よりも大きくて、その数自体も多く、汗の分泌量が多い傾向があります。

TMHAだけでなく、さらにアンモニアも加わってワキガのあの強烈な臭いになるのです。


ワキガはどういう人に多いのか?

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

ワキガは男女比ではほぼ1:1で、女性の方がわずかに多い傾向にあります。

平均的な発症年齢は22歳、18~54歳にピークがあります。

ワキガの原因となる汗を分泌するアポクリン腺は思春期になると発達するので、12歳以下の有病率が1番低いとされています。

ワキガなどの原発性多汗症疾患の特徴として、社会的な活動範囲が広く、生産性のある年代の罹患率が非常に高いことが挙げられています。

それにもかかわらず、ワキガがあることで患者は精神的な苦痛を受けており、恥ずかしいといったコンプレックス感情を持っている方が多くいます。

そのため、ワキガを治療することで不安感や対人恐怖症、生活の質が優位に上昇することがわかっています。

この記事を読んでいる方で、ワキガによるツライ体臭に悩んでいる方もワキガを治療して、コンプレックスを解消していただきたいと思います。

それでは、ワキガの治療方法について説明していきます。


ワキガの治療方法は?

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

ワキガの治療方法には、大きくわけて5つの治療方法があります。

手術、イオントフォレーシス、ボツリヌス注射、外用療法(制汗剤)、お薬の服用の5つのパターンです。

日本皮膚科学会では、これらのワキガの治療方法についてそれぞれ推奨度を設定し、ガイドラインを作成しています。

それでは、それぞれの治療方法について詳しく紹介していきます。

  • 手術

手術は腋の下の皮膚を切開し、汗を分泌するアポクリン腺の分布している皮膚の層を皮膚の内側から切除する方法です。

それ以外にも、腋の下の皮膚ごと切り取り縫い縮める方法もあります。

手術の方法によって切開する傷の位置や大きさには違いがありますが、手術をすることで9割以上の方でワキガの臭いが減少する結果を得ることができます。

逆をいえば手術でも完全に臭いを取り除くのは困難であり、臭いが減少した人でも臭いが元に戻ってしまうことがあります。

これらは手術では腋の下のアポクリン腺をすべて取り除くのが難しいからです。

また、手術による傷からの感染や皮膚壊死、色素沈着などを起こすおそれもあります。

この手術療法は、きれいにアポクリン腺を切除すればするほどリスクは高くなり、傷跡は残りやすくなります。

手術を受けるコストも手術方法によって異なり、保険が適用になる格安のものから全額自己負担で高額のものまで様々です。

おおよその料金の幅としては5~50万ほどかかります。

そのため、ワキガに悩んでいる方はまずはこれ以外の治療方法を試し、それでも解決しなかった時の最終手段として手術を受けるようにしましょう。

  • イオントフォレーシス

イオントフォレーシスは、患部を水道水の入った容器の中に浸し、10~20mAの直流電流を流す方法です。

1回30分の通電を8~12回行うと汗の量が減っていきます。

治療効果を維持するためにはその後も1週間に1~2回通電を行うことが推奨されています。

保険適応が可能で、1回3,000~10,000円で治療を受けることが可能ですが、頻繁に受診する必要があり非常に手間がかかってしまう上にトータルのコストはかなり高額になってしまいます。

また、イオントフォレーシスは手汗などの治療としてはかなり効果的のようですが、ワキガのような腋窩の多汗症には治療方法が難しく効果的ではないとされています。

  • ボツリヌス注射

ボツリヌス注射とは、ボツリヌス菌の産生する毒素を皮膚に注射する治療方法です。

一般的にはボトックスといわれる商品のボツリヌス毒素が使用されています。

ボツリヌス菌毒素は神経毒素で、A~G型の7種類があります。

この中で、A型ボツリヌス毒素(BT-A)は最も効率よく交感神経から発汗を促す神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を抑制することができます。

手のひらや腋の下に約2cm間隔でBT-Aを注射すると、1週間程度で発汗量が減少しはじめ、約6ヵ月発汗抑制効果が持続します。

料金は注射するボツリヌス毒素の量や部位によって違いがありますが、保険適用により3~5万円前後で治療を受けることができます。

デメリットとしては、注射による痛みがあったり、その痛みを抑えるために局所麻酔をしてもらうと料金がさらに高くなってしまうことです。

そのため、後述する制汗剤や内服薬では今一つ効果がなく、汗は止めたいけど手術はしたくないという方にボツリヌス注射が推奨されています。

  • 外用療法(制汗剤)

一番簡単に治療が行えて、手術による傷跡なども残らないとして日本皮膚科学会のガイドラインでも非常に推奨されており、第一選択の治療法です。

制汗剤は他の治療方法に比べて安価に治療することができるのも推奨されている理由の1つです。

有効成分として塩化アルミニウムを含有する制汗剤の使用は、ワキガの治療においてまず行ってよい治療といわれています。

塩化アルミニウムの制汗剤は、その基剤として無水アルコールに溶解したものか、水性アルコールゲルとして5~6%サリチル酸を混合したものが現在の主流となっています。

腋の下に塗ることで汗を分泌する汗腺を塞ぎ、発汗を抑制します。

汗の分泌細胞自体は障害を受けないが、長期間継続して使用することで汗の分泌機能が弱まることがわかっているので、続けて制汗剤を使用することが推奨されています。

注意点として、日本では塩化アルミニウムを含有する制汗剤の保険適応はなく、ドラッグストアや薬局で市販されている制汗剤を購入する必要があります。

強力な制汗剤を購入したいのであれば、個人輸入代行サイトを利用するよう推奨されています。

個人輸入代行サイトを利用して購入ができる制汗剤で、強力に発汗や臭いを抑えることができる商品として、パースピレックスというものがあります。

パースピレックスシリーズはデンマークで開発された商品で、独自の特許によって世界で大人気の制汗剤です。

日本ではまだ未発売ですが、ワキガや多汗症に悩んでいる日本人の中には海外から取り寄せてパースピレックスを使用している方も多くいます。

その発汗抑制・消臭効果は強力で、寝る前に1回腋に塗るだけで3~5日間効果が持続します。

パースピレックスシリーズにはいくつかの種類があり、オリジナル、ローションタイプ、ロールタイプ、コンフォート、ロールオンストロングなどの商品があります。

それぞれのシチュエーションにあわせて使い分けるのがおススメです。

  • お薬の服用

ワキガなどの多汗症には内服薬での治療も効果的です。

一般的に、多汗症には抗コリン薬といわれるお薬が使用されています。

カナダ多汗症諮問委員会のガイドライン(1970年)では、中等度から高度の顔面多汗症に対する第一選択に抗コリン薬が指定されています。

日本でも抗コリン薬は多汗症の治療に使用されており、プロバンサインという医薬品が病院から処方されています。

副作用が少なく、制汗剤やイオントフォレーシス、ボツリヌス毒素が無効であったり、治療が行えないような多汗症の治療にも使用することができます。

プロバンサインは個人輸入代行サイトでも購入することが可能で、病院で処方してもらうよりも安価に費用を抑えて手に入れることができます。

制汗剤のパースピレックスと併用してワキ汗・ワキガだけでなく、緊張しやすい方の手汗の解消のために服用している方もいます。

その他の内服薬では、オキシブチニン(商品名:ポラキス)や、コハク酸ソリフェナシン(商品名:ベシケア)なども使用されています。

多汗症の患者は発汗に対する恐怖心から情緒不安定になることがあり、自律神経失調症に効果のあるトフィソパム(商品名:グランダキシン)や抗不安薬でプロバンサインと同じように抗コリン作用をもつパロキセチン(商品名:パキシル)も治療に使用されています。

しかし、効果の程度にはバラつきがあったり口の渇きや眠気などの副作用も報告されているのであまり使用されてはいません。


まとめ

ワキガや手汗・足汗・多汗症を治療する5つの方法

いかがでしたか?

多汗症やワキガの治療方法をいくつか紹介させていただきましたが、気になるものはあったでしょうか?

どの方法も多汗症・ワキガに効果的ですが、まずはパースピレックスなどの制汗剤やプロバンサインなどの内服薬を試してみてみるのがおススメです。

それでも臭いや発汗が気になる場合には、ボツリヌス注射や手術などの治療方法に移行するようにしましょう。



原稿作成:薬剤師 白鳥勇磨

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