薬剤師より低用量ピルをご購入されたお客様へ -服用前にお読みください-

はじめに

低用量ピルをご購入されたお客様へ

低用量ピルは避妊薬というイメージが非常に大きいですが、避妊以外にも女性を助けてくれる役割をたくさん持っています。

そこで、避妊以外の主な用途についてご説明致します。また、低用量ピルの服用に不安がある方のために、予め知っておくと安心なことを軽くまとめてみました。


低用量ピルの意外なメリット

低用量ピルをご購入されたお客様へ

低用量ピルは高い避妊効果以外にもPMS(月経前症候群)、月経困難症、子宮内膜症、ニキビ治療などにも有効であることはご存知頂けたと思います。

更に、低用量ピルには他にも多くの素晴らしいメリットがあるのでご紹介致します!


妊活へのメリット

低用量ピルを服用している間は妊娠することはありませんが、実は低用量ピルは不妊症を予防・改善する効果があります。

女性は初潮から閉経まで何十年もの間、月に1度排卵が起こります。この定期的に起こる排卵は卵巣にどうしても負担がかかります。しかし低用量ピルには常に排卵を抑制させる働きがあるため、服用している間は卵巣を休ませることができるのです。

子供が欲しいと思ったら低用量ピルの服用を中止すれば、じきに自然な身体のサイクルに戻り排卵が再開します。(早い方で中止後1ヶ月~、平均2~3ヶ月程度で自然な生理が起こります。)

すると、それまで卵巣が休んでいたぶん良い卵胞が育ち排卵がスムーズに起こるようになるため、通常より妊娠率が上がると言われています。

現在産婦人科領域では、妊娠を希望しない場合など無駄な排卵はしないほうがいいという論調にあります。

また、低用量ピルによってホルモンバランスが整い子宮環境が良くなるため、不妊の原因疾患(生理不順や子宮内膜症など)を予防・改善することができます。

不妊治療の現場でも、卵巣を休ませたりホルモンバランスを整え妊娠に挑む目的で低用量ピルは積極的に使用されています。


更年期症状や骨粗鬆症の予防

女性ホルモンのエストロゲンは、脳、血管、肝臓、骨、皮膚、粘膜など身体の多くの部分で重要な役割を担っています。

閉経前後のおよそ10年もの期間である更年期はエストロゲンの急激な減少によって様々な心身の不調(更年期障害)が起こりやすくなりますが、低用量ピルでエストロゲンを補充することによって更年期障害の予防&軽減が期待できます。(尚、低用量ピルを服用できるのは閉経前までです。)骨粗鬆症も更年期障害同様にエストロゲンが関係しているので、予防することができます。


卵巣がん・子宮体がん・大腸がんの予防(発生リスク低下)

近年の研究において、低用量ピルが卵巣がん・子宮体がん・大腸がんの発生リスクを大きく低下させることが明らかになりました。

逆に、乳がんと子宮頸がんは低用量ピルによって発生リスクがわずかながら上がるため、家族歴がある方は念のため注意が必要です。

参考文献: https://www.lcy.jp/special/featurepill/


低用量ピルのよくある副作用(吐き気・体重増加)の対処法

低用量ピルをご購入されたお客様へ

頻度は多くありませんが低用量ピルには副作用がいくつか報告されています。中でも比較的起こりやすい副作用に、「吐き気」と「体重増加」が挙げられます。

主な原因はホルモンバランスの変化によるものなのでさほど心配いりませんが、極力避けたい症状ですよね。

そこで、対処法をご紹介致します。


低用量ピルによる吐き気の原因・対処法

吐き気は何故起きるかというと、低用量ピルを服用することで身体は妊娠時と同じようなホルモンバランスになるため、つわりに似た症状が起こることがあります。

女性ホルモンのエストロゲンには嘔吐中枢を刺激する作用や嗅覚を敏感にする作用、またもうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンはインスリンの働きに影響して低血糖が起こりやすくなることから、これらのホルモンの少量の変化でも吐き気を催すことがあると言われています。

10人に1人くらいの割合で低用量ピルによって軽度の吐き気が起こると言われていますが、2~3周期もすれば身体が慣れ症状がなくなることがほとんどです。

症状が重い場合や改善しない場合は薬が身体に合ってない可能性が高いので、低用量ピルの種類を変えることを推奨します。

吐き気を起こさない&抑えるためには、酔い止め薬や吐き気止めの薬を服用すると大きな改善が期待できます。低用量ピルと併用しても問題ありません。

酔い止め薬:トラベルミンなど
吐き気止め:ドンペリドン(商品名ナウゼリン)など

また、低用量ピルの服用のタイミングは空腹時より食後の方がお勧めです。

もしくは寝る前に服用すると、低用量ピルの血中濃度がピークに到達する時に睡眠中なので吐き気を回避することができそうです。


低用量ピルによる体重増加の原因・対処法

ダイエット中の方にとっては死活問題ですね。ただしこちらも前述の吐き気同様に決して頻度は多くありません。ただ、低用量ピルを服用して太った!という報告が度々あるために注目されてしまっています。

女性ホルモンのひとつエストロゲンの作用によって水分を溜めやすくなる=浮腫(むくみ)が生じやすくなることと、もうひとつの女性ホルモンであるプロゲステロンの作用によって食欲が増すことが原因だと言われています。

低用量ピルを服用してから明らかに体重が増えてしまった方は、薬が身体に合う合わないの問題もあるためピルの種類を変えてみるのもひとつの手です。特に新しい世代(第4世代)の低用量ピルは体重増加などの副作用がかなり軽減されています。

低用量ピルによる「むくみ」と「食欲増進」が体重増加のキーポイントです。

  • 塩分(むくみの元)を控える
  • 適度に食欲を抑え、できれば食事制限をする(特に夕食)
  • リンパや老廃物を流すように身体をマッサージする
  • 湯船にしっかりつかる(半身浴など)

これらのことを意識して行っていれば、体重増加は回避できる&むしろ痩せることも可能です!

特に低用量ピルの飲み始めやホルモン量が多い錠剤を服用している時に体重が増えやすい傾向にあるので注意しておくといいでしょう。

参考文献:日経ドラッグインフォメーション


休薬期間に消退出血がない場合

低用量ピルをご購入されたお客様へ

通常、低用量ピルの休薬期間(22~28日目まで)には消退出血という生理のような出血が起こります。
しかし実際には出血はあったりなかったり、人によって個人差が大きいといわれています。そこで、消退出血について詳しく説明致します。

低用量ピルの休薬期間中に起こる出血は一般的には「消退出血」と呼びますが、この出血は生理と同じように子宮内膜が剥がれ落ちることで起こる出血です。
生理と消退出血はどう違うのか混乱する方もたまにいらっしゃいますが、生理は排卵の伴った消退出血の一種です。ここで言う消退出血は「低用量ピル服用中の生理」を指します。

通常の生理周期は卵胞期→排卵期→黄体期→妊娠しなければ月経期(生理)となります。卵胞期には子宮内膜が増殖して厚くなり卵胞が成熟し、排卵期には排卵が起こり、黄体期には受精・着床の準備がされています。
受精着床が成立せず妊娠に至らなかった時、厚くなった子宮内膜が剥がれ出血することを生理と呼びます。

低用量ピル服用中は子宮内膜の増殖が抑えられ、排卵も抑制され、身体が妊娠時と同じようなホルモンバランスの状態になります。
低用量ピルを21日間服用した後に7日間の休薬期間を迎えると体内のホルモン量が低下し、通常の生理と同様に不要な子宮内膜が剥がれ落ちて出血するという仕組みです。

消退出血の特徴は、出血量が少なく通常よりも軽い生理であることです。
低用量ピルが子宮内膜の増殖を抑えるために剥がれ落ちる内膜=出血量が少なくなるからですが、これは月経困難症の治療に低用量ピルが有効である理由でもあります。
人によっては消退出血がごく僅かだったり全く起きないことも少なくありません。特に低用量ピル飲み始めの周期はその傾向が顕著に現れます。そのため、休薬期間に出血が起こらなくても心配いりません。

休薬期間を終えたら、出血の有無に関わらず次の周期に移行して新しいシートの服用を開始してください。
不安な方や、何周期も出血がない方は念のため婦人科を受診して医師に相談してください。

ただし、ひとつ注意点があります。
もしも飲み忘れが多かったり低用量ピルを正しく服用できていない方は、出血がない場合に妊娠の可能性が挙げられます。正しく服用すればピルの避妊率はほぼ100%ですが、1周期に2回以上飲み忘れたら避妊率はどんどん下がります。
また、休薬期間に起こる出血は消退出血ですが、低用量ピル服用期間中の出血は「不正出血」です。不正出血が多い場合は何らかの機能異常がある恐れがあるので必ず医師に相談してください。

参考文献: http://www.jsog.or.jp/activity/guideline.html


低用量ピルによるニキビ治療

低用量ピルをご購入されたお客様へ

低用量ピルは経口避妊薬として有名ですが、月経困難症・PMS・子宮内膜症などの治療にも多く使用されます。
中でも、大人ニキビにも高い改善効果があるのはご存知でしょうか?低用量ピルを使用したニキビ治療について詳しく説明致します。

ホルモンバランスが大きく変化したり乱れると、ニキビなどの肌荒れが起こりやすくなります。生理前になると肌の調子が悪くなる女性は多くいらっしゃるのではないでしょうか?これは、ホルモンバランスが主な原因なのです。
ホルモンバランスの変化によって男性ホルモンが優位になる(女性ホルモン量に対して男性ホルモンが多くなる)と、男性ホルモンの角化細胞増殖作用(角栓による毛穴詰まりを引き起こしニキビの初期段階を生む作用)や皮脂分泌促進作用によってニキビが発生・悪化しやすくなります。

低用量ピルを継続的に服用していると女性ホルモンが補充されることでホルモンバランスが整い、女性ホルモンが優位になります。
その結果女性ホルモンによって男性ホルモンが抑えられ、ニキビなど肌トラブルがなくなり美肌に近付くことができるのです。

低用量ピルはニキビを身体の内側から根本的にアプローチして治療することができます。
ただし、低用量ピルの飲み始めはホルモンバランスが急に変わるため、逆にニキビや肌荒れが一時的に悪化する恐れもあります。(副作用としても肌荒れが挙げられます。)

また、低用量ピルによるニキビ治療に即効性はあまりなく長期戦になります。2~3周期目で目に見える改善効果が現れるでしょう。
尚、他のニキビ治療薬と併用可能で、併用することで相乗効果が期待できます。

特に新しい世代(3~4世代)の低用量ピルは服用初期の肌荒れが起きにくくニキビ治療に適しています。
また、日本では未認可であるため流通していませんが海外では有名な低用量ピル「ダイアン35」は男性ホルモンを抑制する作用がある有効成分が含まれているため、より高いニキビ治療効果があります。

低用量ピルは避妊目的で服用する方が一番多いと思われますが、このようにニキビ治療効果&美肌効果(有効成分エストロゲンの作用によって艶ハリや化粧のりが良くなり、肌荒れが起こりにくくなる)が期待できます。
もちろんニキビを治すには食生活や生活習慣の改善も必要不可欠であることを忘れないでください。


参考文献: http://www.aizawa-hifuka.jp/acnecare/acnecure/method/hormone/
日経ドラッグインフォメーション


原稿作成:薬剤師 浅田マキ