膀胱炎治療薬グレースビットついてベストケンコーが解説します。

膀胱炎治療薬グレースビットの人気の秘密|薬剤師コラム|ベストケンコー

膀胱炎治療薬として人気の抗生物質グレースビット(成分名:シタフロキサシン)。

抗生物質のお薬は世の中にたくさんあるのに、なんでグレースビットが人気なのか気になりませんか?

今回は、「そもそも膀胱炎とは?」「どうしてグレースビットが膀胱炎に効果があるの?」などの理由について紹介していきます。

そもそも膀胱炎とは?

膀胱炎治療薬グレースビットの人気の秘密

「おしっこすると痛みがある」
「頻繁にトイレに行きたくなる」
「トイレに行ったのにまだ尿が残っている感じがする」

そんな症状がある方は、「膀胱炎(ぼうこうえん)」かもしれません。

膀胱炎は女性に多く、日本人女性の50%が膀胱炎を経験したことがあるといわれるほどメジャーな疾患です。膀胱炎は非常に身近な疾患ですが、治療せずそのままにしてしまうと重症化して腎盂腎炎に発展してしまうこともあります。

膀胱炎は膀胱に炎症を起こす疾患です。膀胱炎は、以下のような症状があらわれます。

  • 排尿痛
    おしっこの時にしみたり痛みが起こる
  • 残尿感
    おしっこが残った感じでスッキリしない
  • 頻尿
    何度もトイレに行ったのにまた行きたくなる
  • 尿混濁
    おしっこが濁る

膀胱などに違和感を感じた後、どの症状があらわれるかは人それぞれです。必ずしもすべての症状が同時に起こるわけではありません。


膀胱炎の原因は?

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膀胱炎の主な原因は細菌感染によるものです。

膀胱は丸い袋のような形で、骨盤の内側にあります。尿は血液を腎臓でろ過することでつくられ、およそ500mlほど蓄えられます。尿道や膀胱はもともと無菌なのですが、何かのきっかけで尿道や膀胱に雑菌が入ってしまうことで炎症を起こし、膀胱炎となってしまいます。

女性の場合は、肛門からの大腸菌(Escherichia coli)が原因であることが多いです。膀胱に細菌が入ってしまってもすぐに膀胱炎を発症するわけではありません。健康状態が良好で免疫力が十分あれば、細菌の増殖を抑制して発症することはありません。しかし、睡眠不足や疲労、ストレスによって病気に対する抵抗力が低下することで、細菌に対抗できなくなり膀胱炎を発症してしまいます。

女性の方が膀胱炎を起こしやすい理由は、女性が男性よりも尿道の長さが短いからです。男性はペニス(陰茎)があるため尿道が長くおよそ20cm程の長さがあります。それに対して女性の尿道は4~5cm程度の長さしかありません。このため、肛門などが尿道口に近く、細菌が侵入しやすいことから膀胱炎を起こしやすいといわれています。

これ以外にも、月経の前後や性行為後など、陰部に細菌が繁殖しやすい状態の時も、膀胱炎を起こしやすいです。


膀胱炎を放っておくとどうなるの?

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症状が軽い方や、仕事が忙しくてなかなか膀胱炎の治療ができないままでいると、症状が悪化して腎盂腎炎を起こしてしまうこともあります。

腎盂腎炎とは、膀胱内の細菌が腎臓の方に逆流することで発症します。腎盂腎炎では、高熱、背中や腰の強い痛み、吐き気、全身倦怠感、脱水症状などの症状を起こします。最悪の場合、細菌が腎臓から血流にのって全身に広がって急性腎不全、多臓器不全となり命にかかわることもあります。

そのため、膀胱炎は放置せずしっかりと治療をする必要があります。


膀胱炎に使用されるお薬は?

膀胱炎治療薬グレースビットの人気の秘密

膀胱炎の治療では、漢方薬や抗生物質が使用されています。

漢方薬では主に「五淋散」が利用されています。五淋散は「抗菌・抗炎症」「傷修復・血流改善」「利尿」の作用をもつ11種類の生薬で構成されており、この働きによって膀胱炎の炎症を抑え、細菌を洗い流していきます。排尿痛、残尿感、頻尿など、膀胱炎の諸症状を改善することができます。

もう1つの膀胱炎治療薬である抗生物質では、「ニューキノロン系抗生物質」が主に利用されています。ニューキノロン系抗生物質は、膀胱炎の原因菌を殺菌し炎症症状を抑えることができます。炎症に伴う排尿痛や残尿感、細菌による尿の濁りなどの諸症状を改善することができます。

とくに、ニューキノロン系抗生物質のグレースビット(成分名:シタフロキサシン)やクラビット(成分名:レボフロキサシン)がよく利用されています。女性の方がグレースビットやクラビットを処方された処方箋を持参されたら、薬剤師の我々は「あぁ、膀胱炎で処方されたのかなぁ。」と考えるくらいにニューキノロン系抗生物質は膀胱炎の治療に使用されています。

それでは、そんな膀胱炎の治療で人気なグレースビットについて解説していきます。


グレースビットとは?

膀胱炎治療薬グレースビットの人気の秘密

グレースビットは、日本の有名な製薬会社である第一三共株式会社が創製したニューキノロン系抗生物質です。有効成分としてシタフロキサシンを含有し、服用することで優れた殺菌効果をあらわします。

日本では2008年に発売され、現在に至るまで膀胱炎だけでなく様々な感染症の治療のために使用されています。副作用も起こしにくいので、多くの医療機関から病気の治療のために処方されています。近年、呼吸器感染症・耳鼻科感染症の主な原因菌である肺炎球菌、インフルエンザ菌の各種抗生物質への耐性化が問題となっています。また、膀胱炎などの主な原因菌である大腸菌においてもキノロン耐性菌の増加が危惧されています。

そのような背景の中、第一三共株式会社は、様々な細菌に対して殺菌作用を持ち、従来のキノロン系抗生物質と比較して強力な効果のあるグレースビットを開発しました。

グレースビットは、近年世界的に耐性化が問題となりつつあるキノロン耐性大腸菌に対しても強い殺菌力を示しています。そのため、膀胱炎の患者にはグレースビットが多く処方されているのです。


グレースビットの成分と効果・副作用

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グレースビットの有効成分はシタフロキサシンです。シタフロキサシンはニューキノロン系抗生物質といわれ、ニューキノロン系抗生物質は細菌の標的酵素であるDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに対して阻害活性を示し、細菌の遺伝情報物質(DNA)の複製を妨げることで殺菌的に作用します。

シタフロキサシンはDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに対する阻害活性が他のニューキノロン系抗生物質よりも強く、強い殺菌作用をあらわすことがわかっています。

グレースビットの効能・効果は以下の通りです。

<適応菌種>

  • ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)

<適応症>

  • 咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染
  • 膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎
  • 子宮頸管炎
  • 中耳炎、副鼻腔炎
  • 歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

グレースビットは殺菌作用が強い反面、副作用として腸内細菌も殺してしまい腸内環境のバランスが乱れて下痢や軟便を起こすことがあります。服用した方の1.2%に下痢、0.4%に軟便が起こることが報告されているので、グレースビットを服用してこのような症状が起こった場合は、医師・薬剤師に相談するようにしてください。


グレースビットの服用方法や注意点

膀胱炎治療薬グレースビットの人気の秘密

グレースビットは、通常、成人に対してシタフロキサシンとして1回50mgを1日2回又は1回100mgを1日1回服用します。なお、効果が不十分な場合には、シタフロキサシンとして1回100mgを1日2回服用することができます。

注意点として、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人や小児はグレースビットを服用することができないので、該当する方は膀胱炎の治療にグレースビットを使用するのは避けてください。


自分でもできる膀胱炎の予防法

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膀胱炎を1度経験すると、その後何回も再発する方が多いです。そのため、日常でできる予防策について紹介します。


  • 水分を多めに摂取する
    水をたくさん飲んでおしっこを出すことで、細菌を膀胱から押し流すことができます。
  • おしっこをガマンしすぎない
    仕事や用事が忙しくおしっこを長時間ガマンすると、膀胱内で細菌が繁殖するおそれがあります。3~4時間程度の間隔でトイレに行き、無理なガマンをしないようにしてください。
  • 排便後は前から後ろに拭く
    膀胱炎の原因菌である大腸菌は糞便に多く含まれています。排便後に後ろから前に拭いてしまうと大腸菌が尿道に付着するおそれがあり、感染する危険性があります。
  • 性行為の後に排尿する
    細菌が入ってしまう可能性があるため、細菌が侵入しないように性行為後に排尿することで細菌を洗い流すようにしてください。

これらの予防方法を実践しても膀胱炎を発症あるいは再発した場合は、速やかにグレースビットの服用が効果的です。症状があらわれた時にすぐに服用ができるように、常備薬としてあらかじめ個人輸入代行サイトを利用してグレースビットを購入しておくのもおススメです。


執筆者

薬剤師:白鳥勇磨

参考資料・出典

https://www.urol.or.jp/info/guideline/index.html

https://www.medicallibrary-dsc.info/di/gracevit_tablets_50mg.php(医療関係従事者専用サイト)

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054489

グレースビットと同じニューキノロン系抗生物質の「クラビット」