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フィラリア感染症編・症状とお薬ガイド


フィラリアとは?


フィラリアとは糸状虫という寄生虫の総称
みなさんがよく使う「フィラリア」という言葉は、フィラリア(糸状虫)の中の「犬フィラリア(犬糸状虫)」を指しています。フィラリア症とは、ワンちゃんや猫ちゃんの体の中で犬フィラリア(以下、フィラリア)が成長して現れる症状、病気のことです。寄生虫の名前に「犬」とあるので、ワンちゃんだけに感染するものと思われていますが、猫ちゃんにも感染し、発症することもあります。フィラリアの成虫は30センチほどの「そうめん」のような形状で、それが肺動脈(心臓から肺に繋がる血管)の血管の中で増えて、血液の流れを悪くするのです。ワンちゃんよりも体が小さい猫ちゃんでは、たった数匹の成虫で重症になり、突然死に繋がります。

「蚊」に刺されることで感染する
フィラリアは蚊によって、ワンちゃんから感染します。フィラリアに感染しているワンちゃんの血液の中には幼虫よりさらに小さい0.3ミリ程のミクロフィラリアがいます。蚊が血を吸う時に、このミクロフィラリアも一緒に吸われて蚊に入り、蚊の中で幼虫になります。幼虫は蚊の口先にいて、蚊が血を吸う時にワンちゃんや猫ちゃんの皮膚に移動するのです。

フィラリアの進行の過程<ワンちゃん>
1)ワンちゃんの皮膚で1週間ほどを過ごし、約1.5ミリになった幼虫はワンちゃんの胸やお腹の筋肉まで移動します。
2)そこから血管の中へ移動し、最終的には、肺動脈(心臓から肺に血液を送る血管)まで流れつき、その大きさは約3センチぐらいになります。
3)その後3-4か月の間で急激に大きくなり、メスは約30センチ、オスで23センチほどの成虫になります。

こうして何匹もの成虫が、大切な血管を塞ぎ、血液の流れが悪くなることで、ワンちゃんに様々な症状を引き起こします。さらに、ワンちゃんの肺動脈にいる成虫は繁殖していて、大量のミクロフィラリアを産み出します。1匹のメスから毎日、2000-3000個のミクロフィラリアが産み出されているのです。こうして血液の中に産み出されたミクロフィラリアが、再び蚊によって他のワンちゃんへと運ばれ、フィラリアの感染は拡大していくのです。

フィラリアの進行の過程<ネコちゃん>
猫ちゃんの場合は ワンちゃんに感染した場合と比べてフィラリアの幼虫の成長は遅く、成虫まで育つのも少数で、フィラリアの成虫の寿命も短めです。「犬」フィラリアというくらいなので、ワンちゃんに比べると猫ちゃんの体の中では成長しにくく、繁殖して子孫を産み出すことはほとんどありません。実際、フィラリアに感染した猫ちゃんの心臓には1匹から、多くても3匹ほどの成虫しかみられません。しかし、猫ちゃんの心臓は犬よりも小さいので、成虫の数が少なくても重症化してしまいます。


フィラリアの症状


最初の症状は咳や呼吸など
症状に気付いた時には、既に成虫がいるということです。肺へ繋がる血管が塞がれるので、ワンちゃんも猫ちゃんもまずは咳が出たり、呼吸が荒くなったりします。フィラリアに感染したからといって、すぐに症状が出ないことがほとんどです。症状が出るまでには、体の中で幼虫から成虫になり、血管を塞ぎ、血液の流れが悪くなってしばらくしてからです。つまり、今、症状が出ていなくてもフィラリアに感染している可能性もあるということ。そして、気が付いた時には、既に肺動脈や心臓には成虫が存在しているのです。

ワンちゃんの症状
たくさんの成虫の寄生によって全身に十分な血液が周らないので、次第に元気や食欲もなくなり、おしっこが赤茶色(血色素尿)になったり、お腹に水が溜まって張る(腹水)などの症状へ。他にも、脳への血液の流れが悪くなって脳貧血を起こして突然に失神を起こすこともあります。症状が出て、フィラリアと診断された時には既に成虫が心臓や肺動脈に複数いて繁殖しています。

ネコちゃんの症状
猫ちゃんに感染してもほとんど症状を現さないので、通常、猫ちゃんの症状は分かりにくいです。症状が出ても他の病気と間違えやすく、または突然死を起こすこともあります。ですが、猫ちゃんが症状を現す場合には、主に下記の2つのケースがあります。

①幼虫による咳や嘔吐、下痢など
肺動脈に流れ着いた幼虫によって、血管で炎症が起きたりすることで咳が出るなどの呼吸器症状(犬糸状虫随伴呼吸器疾患:HARD)が現れます。呼吸が速くなったり、ワンちゃんのように舌を出して口を開けて呼吸をする(開口呼吸)などの症状が出ます。しかし、この症状はしばらくすると収まることも多く、アレルギー性気管支炎や猫喘息などと間違われやすいのです。
②成虫による呼吸困難や突然死
肺動脈で死んだフィラリアの成虫が肺動脈に詰まったり、死んだ成虫に対して猫ちゃんの体が激しいアレルギー(アナフィラキシーショック)を起こしたります。成虫による症状は、呼吸困難や突然死など重篤です。


フィラリアの治療法


治療方針は主に4つ

①手術で成虫を取り出す
この治療法は健康なワンちゃんによく適用されます。言い方を変えると、全身麻酔の手術に耐えられる健康なワンちゃんしか選択できないということです。喉のところから、管を入れてフィラリアの成虫をつまみ出します。猫ちゃんでは心臓が小さいことや、血管が幼虫によってもろくなっているなどワンちゃんよりもさらに手術の難易度が高くなるのであまり実施されません。

②薬で幼虫と成虫を駆除する
こちらも条件を満たすワンちゃんのみ選択可能ですが、リスクの高さからあまり実施されません。成虫を駆除したことによるアレルギーショックや虫が詰まって血流不全にならないように気を付けながら行います。実施後は長期間の安静が必要です。

③成虫はそのままで様子を見る
こちらは成虫の寄生数の少ない猫ちゃんで選択れる方法です。幼虫は駆除しないのか?と疑問に思われる方も見えると思いますが、猫ちゃんの場合は成虫の数が1~3匹であり、子孫の幼虫を残していることはほとんどありません。またワンちゃんと同様に薬を用いて駆除することへの高いリスクを考慮し、既に寄生してしまったフィラリアは猫ちゃん自身の免疫に委ねるといった選択がされます。

④咳やその他の症状を和らげる治療(対症療法)
フィラリアの成虫が寄生してしまったことよる炎症へのステロイド剤、咳や呼吸を楽にするための気管支拡張剤など、それぞれの症状を和らげる治療を行います。手術の効果が見込めない重症なワンちゃんや高齢のワンちゃん、猫ちゃんへはこの対症療法が中心に行われます。


フィラリアの予防法


◆「蚊」への対策
まずは、フィラリアを運んでくる「蚊」への対策。蚊取り線香や蚊を寄せ付けない首輪など色んな商品があります。そうすることでフィラリア幼虫を運んでいる蚊との接触を「減らす」ことが可能です。

▷室内飼育でも予防は必要です
室内飼育だからといって絶対に感染しないとはいえません。蚊はニオイや呼吸から出る二酸化炭素に引き寄せられ、ちょっとした隙間から室内へ侵入してきます。ワンちゃん、猫ちゃんは室内飼育だとしても、飼い主である私たちが外出し、蚊を連れて帰ってしまうこともあります。日常生活の中で、完全に蚊との接触をなくすことは難しいという点で、室内飼育の場合でもフィラリア予防は必要だといえます。

◆「幼虫」への対策
ワンちゃんの体内に移った幼虫は、どのくらいの確率で成虫になれるのでしょうか。実に約75パーセントが成虫になると言われています。これは、蚊に刺され、皮膚へフィラリア幼虫が侵入した場合、予防薬の投薬をしないと約75パーセントもの高い確率で成虫になるということです。近年では猫ちゃんのフィラリア予防も重要視されています。実に10パーセントの猫ちゃんがフィラリアに感染しているという調査結果もあるそうです。ワンちゃんも猫ちゃんも、予防薬を投与することで、しっかりと幼虫を駆除し、成虫にさせないことが大切です。予防薬には経口タイプ(錠剤・顆粒・チュアブル・ゼリータイプなど)や塗布タイプ(首のうしろなどに滴下するタイプ)などがあります。それぞれ、薬の効果は一か月ほどなので、毎月1回の投与が基本です。

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▷予防期間は蚊の出現時期と1か月ずらします。
蚊が媒介する病気というイメージから、「夏の間だけ予防すればいいのでは。」と思われがちです。しかし、年間を通して温暖な日が増え、それに伴って蚊の出現期間が延びているので予防期間は夏に限りません。投薬期間は蚊が発生し始めてからの1か月後から、蚊がいなくなってからの1か月後までの約半年間です。蚊の出現期間と、投薬期間には1か月のずれがあることがポイントです。まず、蚊が出始めた頃は、フィラリアの幼虫がワンちゃんや猫ちゃんの体内に侵入する可能性が低いのです。それは、蚊に吸われたミクロフィラリアが、次の相手に移動できる幼虫に成長するには「27℃以上の気温の日が2~3週間ほど必要」といわれているからです。投薬は蚊が出始めた頃から約一か月後に開始します。一方、蚊がいなくなった頃に感染した場合の幼虫も含めて駆除する必要があるので、蚊がいなくなっても投薬を中断せず、1か月後にも必ず投薬します。蚊の発生期間については、地域差があるので年間を通して予防したほうがいいという方針の獣医さんもいます。一度、かかりつけの獣医さんに相談されるといいですね。

▷毎年、投薬前には検査が必要です。
しかし、毎年とのこととなると飼い主さんの中には負担に感じる方もみえます。「毎年予防しているから、フィラリア検査はいらないのでは?」と尋ねる方もみえます。日本においてフィラリア予防薬は要指示薬であり獣医師による処方が必要とされています。「処方の際には血液検査をすること」と薬にも書いてあるのです。
毎年予防薬を与えて、予防していたとしても、

  • 飲ませ忘れなど投薬日が少しずれてしまった
  • 飼い主さんの見ていないところで吐き出していた
  • 投薬日の体調によっては薬の消化吸収が不十分であった
  • 投薬期間の間に体重の増減があった
など、薬が効果を発揮できていない可能性も否定できません。

▷症状がなくても…予防していない場合は感染の可能性が高い!
ある調査では、予防せずに蚊のいる季節を3回越したワンちゃんのほぼ100パーセントがフィラリアに感染しているという結果があります。予防を怠ってしまった飼い主さんに多いのは「予防してないけど元気だし、感染していないと思った」とうケースです。しかし、フィラリアに感染してから症状に気付くには数年かかることが殆どです。症状が出るまでの間、フィラリアは体の中で成長し、症状が出る頃には肺動脈から心臓にまで成虫が溢れていることが多いのです。予防していない以上、症状がなくでも、感染の可能性は低くありません。フィラリアに感染し、ワンちゃんや猫ちゃんの体内に成虫がいるかどうかは、血液検査などでわかります。ワンちゃんでは血液中のミクロフィラリアの有無を調べます。もし、フィラリアに感染して成虫となっている場合、ワンちゃんの血管で繁殖し続けていて、大量のミクロフィラリアを産んでいます。猫ちゃんでは、血液検査だけでは正確な判定が難しいのでエコーやX線撮影によって総合的に判断します。成虫の寄生がわかったら、可能な治療をしてあげ、そこから毎年の予防を欠かさず行ってください。

<フィラリア予防は飼い主さんの責任です>
蚊に接触しない環境を作り、それを毎年維持するのは難しいことです。しかし、予防薬を投与することで、幼虫を100パーセント駆除し、フィラリア症を予防することは可能です。フィラリアは飼い主さんの手で予防することができる感染症です。


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