2018年02月23日更新

薬剤師が詳しく解説します!ヒルドイドクリームが保険適用から外される!?

ホントはいけない?処方薬の美容目的使用。化粧品感覚で病院から美肌クリームを処方してもらう人が急増して国の財政を圧迫!今後は規制される流れに。


アトピー性皮膚炎や乾燥肌などの治療に使用されている医療用保湿剤ヒルドイドクリームの不適切な保険適用が増えていると指摘されています。

週刊誌などで、「化粧品より高コスパの究極の美肌クリーム」「化粧水よりも保湿力が高い」「子供がいればタダでもらうことができる」として紹介され、

美容目的で保湿剤ヒルドイドクリームを処方される女性が急増しています。


国の医療費負担が圧迫していて今後ヒルドイドクリームが保険適用なしになるかもしれない


日本に在住している人は、基本的に健康保険に加入しています。病院・薬局を受診して薬をもらっても、一部の自己負担金を支払うだけですみます。 残りの医療費は、健康保険から病院・薬局に支払われます。

通常の社会人であれば保険証を持参すれば医療費の3割負担、生活保護の人や自治体によって子供は自己負担なしでも薬を処方してもらうことができます。
高齢者の方も1~3割の自己負担で医療サービスを受けることができます。

美容目的で保湿剤ヒルドイドクリームを処方してもらう人が増えたため医療費が増大し、医療費の支払いを行う健康保険組合の財政を圧迫しています。
そのため健康保険組合は、ヒルドイドクリームを保険適用から外すべきだと提言しており平成30年度の診療報酬改定を前に議論されています。


本来、ヒルドイドクリームの美容目的処方は保険適用になりません。


病院から処方してもらう医薬品のうち保険適用になるのは、健康保険法に定められている病気・怪我の治療、死亡または出産に関してのみです。 美容目的や病気の予防には保険が適用されません。

アトピー性皮膚炎などの治療であればヒルドイドクリームの処方は問題なく保険適用ですが、ここ数年は美容目的で化粧クリーム代わりに皮膚科を受診する健康な女性が後を絶ちません。

本来、美容目的などの場合は美容整形外科などに受診し全額自己負担で治療を受ける必要があります。 それにもかかわらず、保険制度を悪用しヒルドイドクリームを処方してもらうのは違法であり、非常に問題です。
それが原因でヒルドイドクリームを健康保険組合の提言通り保険対象外にしてしまうと、病気の治療のために適切に医療保険制度を利用している患者さんが迷惑を被ることになってしまいます。

この点に関しては、ルールを破ってヒルドイドクリームをもらっている人ももちろん悪いのですが、美容に効果があると煽っている週刊誌などのメディアも自制するべきでしょう。 ヒルドイドクリームを販売している製薬会社も、メディアや週刊誌にヒルドイドクリームを美容アイテムとして紹介するのを自粛するように働きかけもしています。


ヒルドイドクリームに関する説明など


ヒルドイドクリームは、マルホ株式会社から販売されている血行促進・皮膚保湿剤です。

有効成分にヘパリン類似物質を配合しています。
ヘパリン類似物質は、人体にもともと存在する。ヘパリンに類似している物質ということで非常に安全性の高い乾燥肌治療成分です。
化粧品などとは比較にならないほどの持続性のある高い保湿性、血行促進、抗炎症作用をもち、アトピー性皮膚炎や乾燥肌、火傷によるケロイド、打撲・捻挫の治療として病院から処方されています。
これらの作用が、乾燥肌や加齢によるシミなど女性の肌トラブルに効果が期待できるということで徐々に口コミで広がっていきました。

最近では週刊誌やインターネットの美容サイトでも取り上げられ、「高価な化粧品よりも効果が高い」「保険で自己負担が少ないので安く手に入れられる」などと報じられて問題になっています。


ヒルドイドクリームを病院でもらうときにかかるコストは?


ヒルドイドクリームには軟膏、クリーム、ローション、スプレーなどのタイプがあります。

それぞれタイプごとに皮膚への展延性がよかったり、肌への保持時間が優れていたりという特徴がありますが、いずれのタイプも国が価格を1gあたり23.7円と決めています。

病院を受診して、軟膏タイプのヒルドイドソフト軟膏を25gチューブ1本約590円分を処方してもらうのにかかるコストは、全額自己負担で約5,180円かかります3割負担ならば1,560円

生活保護や自治体によっては子供であれば自己負担なしで手に入れることができます。 これらにかかるコストにはヒルドイドソフト軟膏25gだけでなく、病院での診察代や薬局の調剤料などの手数料を含んでいます。
これらの手数料は固定されているので、ヒルドイドソフト軟膏を25gチューブ1本だけでなく病院から大量に処方してもらえれば、さらに1本あたりの単価は低く抑えることができます。

美白などを目的にヒルドイド軟膏を処方してもらう人は25gチューブ10本以上を一度に処方されているケースも少なくありません。

10本ヒルドイドソフト軟膏を処方してもらうと、全額自己負担約10,570円3割負担約3,180円で手に入り、25gチューブ1本当たりの単価が320円前後にまで抑えられます。
数万円もするような化粧品よりも効果のある美肌クリームが、1,000円以下で手に入れられるのです。

あまつさえ、子供のいる女性や生活保護の受給者は薬が無料で手に入るとわかれば美と節約のためにも病院を受診してヒルドイドクリームを処方してもらいたくなる気持ちも分からなくはないです。
しかし、本人たちは自己負担を支払わなくてお得に感じるかもしれませんが、彼女たちが支払わなかった医療費は我々の税金や給料などから天引きされる社会保険料から補てんされているのですから見過ごすことはできません。


なんで保険適用から外される議論がされているのか?


平成29年度9月に全国の健保組合からなる健康保険組合連合会(けんぽれん)が、日本における保湿剤処方の実態と問題点について調査研究報告書を公表しました。 通常アトピー性皮膚炎などの疾患であれば、ヒルドイドクリームと併用して内服薬の抗アレルギー薬やその他の塗り薬が処方されることが多いです。

しかし、美容目的と疑われる皮膚乾燥症として保険請求されている場合は、ヒルドイドクリームが単剤処方されることが多いです。
そのため、皮膚感染症にヒルドイドクリームを単剤で処方される場合は保険適用扱いにせず、全額自費にしようという提案がされています。

昨今は、医療費の削減のために国はセルフメデュケーションに力を入れています。
保湿目的のために、少々値は張りますがヒルドイドクリームの有効成分ヘパリン類似物質を配合している市販薬も販売されているというのがこの提言の背景にはあります。

例えば、グラクソ・スミスクラインから製造・販売されているHPシリーズです。
HPシリーズには、ヒルドイドクリームと同量のヘパリン類似物質を0.3%配合しています。 クリームタイプのものと、ローションタイプのものがあり、市場価格は1,300~1,800円で処方せんで手に入るヒルドイドクリームよりも高値になってしまいます。

国は医療費の削減のために、皮膚の乾燥にはこのような市販のHPクリームなどを使用してもらいたいのですが、現状はまだ市販薬の値段が高いため一般に浸透していません。 そのため、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカではヒルドイドクリームを保湿剤としての使用はそもそも保険適用で取り扱われていない状況を鑑みて、将来的には保湿剤そのものを保険適用外にするべきであるとも提言しています。

それによって削減が見込まれる医療費は、年間で約1,200億円にもなると推計されています。 そのため、莫大な医療費の削減が期待できる保湿剤の保険適用外へ移行するための動きは、平成30年度の診療報酬改定に向け前向きに検討されています。

平成30年度の診療報酬改定には間に合わないかもしれませんが、今後美容目的の保湿剤の処方に制限がかかるのは既定路線のようです。


今後は「このように」なる可能性がある


今回と同じようなケースが平成28年度の診療報酬改定で議論されました。 湿布薬の大量処方が医療費を圧迫しているといって議論の対象になったのです。
それによって平成28年度以降、病院から70枚を超えて痛み止めの湿布薬を処方してもらうことができなくなりました。
これは、主に高齢者の方や生活保護の受給者が病院から余分に湿布薬を大量に処方してもらったり、あろうことか他人に配ったりする人もいたことで医療費を圧迫していることが要因でした。

処方される湿布薬は市販で販売されているものよりも効果があり、安価であったのが背景で今回のヒルドイドクリームのケースに似ています。
処方される薬を余分に使用するために処方されれば医療費の圧迫につながりますし、ましてや処方される薬は本人が使用するためのものですので他人に処方された薬を配るのは違法です。

今までは大量に湿布薬を処方されていた人が、この診療報酬改定により70枚を上限に処方可能な量が制限されてしまいました。 そのため今回のヒルドイドクリームも、このように処方できる量が制限される可能性が高いです。
理想は美容目的の処方であれば全額自己負担にするだけで、治療目的で処方されるヒルドイドクリームの量に制限を設けるべきではありません。

しかし、美容目的と治療目的かの評価は医療現場では判断が難しいのが現状です。 医師が子供のアトピーによる乾燥肌などで処方したとしても、その母親が子供からヒルドイドクリームを取り上げて化粧クリーム代わりに使用しても医師も薬剤師も確認することはできません。
そのため、美容目的でヒルドイドクリームが乱用されないように治療に必要な最低限の量しか処方できないように制限をされる可能性が高いです。


だから個人輸入での調達が注目されそう


ヒルドイドクリームは、美容目的で病院から処方してもらうのは本来違法です。 現在は病院で処方されるのをいいことに制度を悪用して大量にヒルドイドクリームを使用している方も、今後はヒルドイドクリームを手に入れるのが難しくなってくるでしょう。
そこで、合法的に安く美白・美容のために大量のヒルドイドクリームを入手するために個人輸入が注目されています。

あくまで保険を悪用してヒルドイドクリームを手に入れなければ問題ではなく、ヒルドイドクリーム自体は非常に優れたクリームであることに違いはありません。 美白・美容目的でヒルドイドクリームの需要は上昇しているのに、病院から処方してもらうのは規制されるのが既定路線となっているため、供給が不足してしまいます。

インターネットが普及した現代では、個人輸入を利用すれば海外の医薬品ですら病院を受診せずに自宅に居ながら手に入れることができます。 化粧品などより効果があり、安価な海外のヒルドイドクリームを手に入れるために個人輸入の需要もますます増えることでしょう。


個人輸入のメリットなど


個人輸入を利用することのメリットはいくつかあります。 日本ではまだ承認されていない海外の新しい医薬品を購入して使用することができるということです。 日本は病気の治療などの新薬の承認は早いのですが、美容・健康維持などに関しては承認が遅い傾向があります。

保険適用も美容などは対象外ということもこの一因だとされています。 そのため、海外の美容に非常に効果のある医薬品が日本ではまだ承認されていないということが多くあります。 個人輸入を利用すれば、ヒルドイドクリームに限らず海外の美容に効果のある医薬品を手に入れることができます。
比較的料金が安いのもメリットの1つです。

日本で商品を購入すれば当然消費税がかかります。 しかし、個人輸入であれば消費税はかかりません。
また、海外との物価との違いにより個人輸入の医薬品は安価であることが多いです。
そのため、病院で処方されるよりも同じ薬が安いことが多いのです。 継続して病院からもらっている薬など、医師・薬剤師から説明を聞く必要がなかったりするものは特に個人輸入を利用すると出費を抑えることができます。

注意点は個人輸入はあくまで自己責任なので、健康被害被害が出るおそれもあります。
医薬品の使用が不安な場合は必ず医師・薬剤師に相談するようにしてください。


原稿作成:薬剤師 白鳥勇磨


  • 参考サイト
  • http://www.kenporen.com/study/research/