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精神病とは?

精神病とは、端的に表現するのであれば、精神障害を伴う身体的疾患のことです。原因としては大きく3つ、内因性・外因性・心因性に分けられ、単独ではなく複数が重なって引き起こされる場合もあります。精神障害とは、 双極性感情障害(躁うつ病)、パニック障害など、平均からある程度逸脱した精神レベルのことで、自分自身や社会的生活に困難や支障をきたしているため、医療や福祉、教育などの支援・対処が必要な状態をいいます。しかし、 精神障害、精神疾患、精神病の定義や基準は統一されていないため、どのような意味で使用されているのか十分に注意して判断することが望ましいです。

精神病は、精神障害の中で、医学的な治療が必要なものを指します。精神疾患は、世界保健機構(WHO)によると、がん、循環器疾患と並ぶ三大疾患に位置づけられています。同じ症状でも、分類によって病名が変わってくることがありますが、代表的な分類法としてはWHOによるICD-10が挙げられます。

①器質性精神障害(症候性を含む):アルツハイマー病、脳外傷、脳血管痴呆、せん妄など

脳の外傷や脳梗塞などの脳そのものの器質的な異常によって起こる精神障害です。

②精神作用物質使用による精神および行動の障害:

アルコール、麻薬・覚醒剤、睡眠薬などによる急性中毒・依存症・離脱状態などを指します。

③統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害

④気分(感情)障害:躁うつ病、持続性気分(感情)障害など

正常の範囲を逸脱して気分が落ち込んだり高揚したりする状態が長く継続する精神障害です。

⑤神経症性障害、ストレス関連性障害および身体表現性障害:パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)など

身体そのものの異常でなく、内因的・心理的な要因が主な原因となる精神障害です。

⑥生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群:摂食障害(過食症、拒食症)、睡眠障害、性機能不全など

⑦成人の人格および行動の障害:性同一性障害、性嗜好障害、人格障害など

⑧精神遅滞

⑨心理的発達の障害:自閉症、会話や言語・学習能力・運動機能などの特異的な発達障害など

⑩小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害:チック、多動性障害、行為障害など

日本における精神病患者は近年大幅な増加傾向にあります。誰にも相談せず抱え込んでしまうなどの理由から実際の患者数を把握するのは難しいのですが、精神的に何らかの病気を患っている人は、分かっているだけでも300万人を超えています。 最も多いのはうつ病で、続いて統合失調症、不安障害、認知症の順に多く、特にうつ病と認知症の増加率が高いとされています。

現代社会においては多くの人が様々なストレスを感じており、心に病を抱えていてもおかしくはない状況です。心の異変を感じたら、精神科や心療内科など専門家の診察や治療を受けることをおすすめします。また、精神病を患う人に対しては、妙な偏見を持たず、周囲の理解と協力が必要だということを理解しましょう。


うつ病

うつ病は、生涯有病率が10%にもおよび、自殺死の増加や長期病休の主たる原因ともいわれる日本人の精神病の中で最も多い病気です。1990年代には44万人程度だった患者数が、2009年には100万人以上にまで増加しています。若い世代だけでなく、40~60代の中高年層の患者も多く、社会的・経済的な影響が大きいと考えられています。

症状が長期にわたり気分の落ち込みを繰り返す大うつ病の他にもいくつかの種類があり、メランコリー親和型うつ病、非定型うつ病(ディスチミア親和型うつ病、新型うつ病)、10月〜12月頃にうつ症状が現れ3月頃に回復する冬季うつ病(季節性感情障害)、出産後の女性の10〜20%に生じるとされる産後うつ病、精神症状が目立たない軽症の仮面うつ病、抑うつ状態と躁状態が定期的に入れ替わる双極性障害(躁うつ病)などが挙げられます。

原因は特定されておらず、生物学的要因(遺伝や性格・考え方など)と環境要因(育った環境、ストレス)が関係していると考えられています。うつ病への遺伝的な関与は約40%といわれています。遺伝的要因やストレス脆弱性が高い人ほど様々なライフイベントにおける適応能力が低く、うつ病を発症しやすいのではないかといわれています。

うつ病の精神症状:抑うつ気分、不安感・焦燥感、好きだったことに興味や関心がなくなる、精神運動静止(活動性・判断力低下など)、自責感・絶望感、自殺念慮、妄想や幻覚うつ病の身体症状:睡眠障害、食欲低下、体重減少、疲労感・全身倦怠感、性欲低下、頭痛、発汗、頻尿、下痢・便秘など。

診断基準として以下の9項目のうち5項目の症状が2週間以上続くとうつ病が疑われます。

①ほとんど一日中の抑うつ気分
②ほとんど一日中の興味・喜びの喪失
③体重減少あるいは体重増加(食欲の低下あるいは増加)
④極度の不眠または過眠
⑤焦燥または行動静止
⑥疲労感または無気力
⑦無価値感または罪責感
⑧思考力や集中力の減退、または決断困難
⑨自殺念慮、死についての反復思考

一般的な治療は、休養、薬物療法、環境調整を含む精神療法の3つをバランスよく行います。

休養はうつ病にとって、とても重要な治療となります。薬物療法は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの抗うつ薬を内服します。不安症状が強い場合には抗不安薬、 不眠がある場合には睡眠導入剤なども併用します。薬の効き目には個人差があり、病気の段階によって効果も異なります。効果を実感するまでに2~3週間はかかりますので、量と回数を守り、正しく飲み続けることが大切です。環境調整とは、 うつ状態を起こす原因や環境要因がはっきりしている場合、それを取り除くよう試みることです。精神療法では特に認知行動療法や対人関係療法などが行われます。

再発を繰り返すことのある病気ですので、防ぐための対策は大切です。そのためには回復後もしばらくは通院や服薬を続け、ストレスをためないよう十分な睡眠を取り、何かしらの趣味や楽しみを持つことなどが有効です。

また早期発見するため、もし、うつ病かもしれないと感じたら、医療機関に相談することをおすすめします。約70%の人が医療機関に相談せずに、自分1人でうつ病を抱え込んでいるとされています。身近にいる人が気付いてあげること、理解して手を差し伸べることが、うつ病回復のために重要な役割となるのです。


非定型うつ病

非定型うつ病とは、ディスチミア親和型うつ病、新型うつ病などともよばれ、いわゆる典型的なうつ病とは異なる特徴を持っています。日本でも近年患者数が20〜30代の間で急増し、注目されるようになりました。

非定型うつ病は発症に際して明らかな誘因をも認めることも多いため、原因は内因性というよりも人格的要素が高く、他人によく思われたいという思いが強く、他人の一言を気にするタイプが非定型うつ病になりやすいといわれています。几帳面で凝り性、正義感や責任感 が強い性格で、幼少期には褒められることが多く手のかからなかった子どもが、大人になったときに発症してしまう場合も多くあります。

うつ病の一型ですので、同様の症状が現れます。しかし、非定型うつ病にはうつ病と比較して特徴的な症状があります。

①抑うつ気分があるが、楽しいこと・嬉しいことがあると気分が明るくなる(気分反応性)
→これが甘えだと誤解されがちですが、非定型うつ病の症状だと理解しましょう。
②興味・喜びの喪失はあまり認めない
③食欲低下・不眠はあまり認めず、食欲増加・過眠になりやすい
④疲労感・全身倦怠感が強く、手足がとても重く感じることもある
⑤無価値感または罪責感は認めにくい
⑥夕方から夜にかけて増悪しやすい(定型うつ病は朝に増悪しやすい)
⑦他人の言葉を悪くとらえやすい(拒絶過敏性)

治療はカウンセリングなどをはじめとした精神療法(生活指導、認知行動療法など)が中心になります。休息や抗うつ薬などの薬物療法にもあまり反応しません。全体的に軽症例が多く、重症化は稀であるものの、治りにくいため慢性化しやすい傾向にあります。しかし治療やトレーニングにより70%以上が改善するともいわれるため、適切な対処、規則正しい生活などが必要です。


双極性障害(躁うつ病)

双極性障害は気分障害に分類される、うつ病の一型です。抑うつ気分のうつ状態と、気分が高揚して意欲も亢進する躁状態が混在したり交互に繰り返されたりする慢性の病気です。双極性障害は、躁状態の程度によって2つに分類されます。うつ状態にくわえ、入院が必要になるほどの激しい躁状態が起こるものを双極Ⅰ型障害、明らかに普段より気分が高揚していているものの、調子が良く、本人も周囲の人もそれほど困らない程度の軽躁状態が起こるものを双極Ⅱ型障害とよびます。どちらの双極性障害でも、うつ状態時の自殺リスクはうつ病と比較して高いとされています。

躁状態の症状としては、気分爽快、観念奔逸、多弁・多動、誇大性、睡眠欲低下、性欲亢進などが認められます。

治療は、気分安定薬を中心とした薬物治療を行い、抗うつ薬はあまり推奨されていません。心理教育、家族の理解と協力、支持的精神療法も重要とされています。再発率が高く、問題行動につながる危険性も高いため、社会生活に支障をきたす場合が少なくありません。躁状態を適切に治療できるかどうかが双極性障害の予後を大きく左右すると考えられています。


パニック障害

パニック障害とは、理由もなく突然の激しい不安と恐怖に襲われ、動悸、頻脈、めまい、発汗、顔のほてり、息苦しさ、吐き気、手足の震え、胸部・腹部の不快感や痛みといったパニック発作を起こし、発作が繰り返されるために生活に支障が出ている状態いいま す。

パニック障害の症状は、約10分程度をピークとして少しずつ軽くなり、多くの場合は1時間以内に解消します。発作が起きた 際に本人は死んでしまうのではないかという恐怖があり、おさまった後も、また発作が起こったらどうしようという予期不安を抱きます。そのため、発作や起こりやすい空間や状況を避けるようになり、外出が不可能になってしまうこともあります。発作時の対応としては、命に関わる発作でないことを伝えて、ゆっくりと深呼吸させ、頭を低くして安静を保ち症状が治まるのを待ちましょう。

原因は、遺伝的要因の関与も考えられており、ストレスや脳内の伝達物質の動きに関連するという説もありますが、解明はされていません。

パニック障害では抗うつ薬などの薬物療法とあわせて、精神療法(苦手なことに少しずつ慣れていく認知行動療法)が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲の理解と協力も大切です。身体的な症状が前面に出るために器質性の病気と間違えられて適切な治療がされていないことが多いようですが、早期に診断され専門的な治療を受ければ治りやすい病気です。


社会不安性障害(あがり症)

社会不安性障害はあがり症ともいわれ、比較的近年になってから広く知られるようになりました。他人から注目される場面での食事や話、電話などで常に過度の不安や緊張、震え、のぼせ、発汗などが起こって強い苦痛を感じ、恐怖のために、人前での行為や人の集まる場所、冠婚葬祭などを避けようとして社会生活に支障をきたす病気です。13歳前後の思春期に発症することが最も多く、社会人になってから発症することもあります。

遺伝的な要因と育った環境、恐怖を感じる脳の扁桃体の過剰な反応などが原因として推定されています。単なる性格的な問題だと悩み、自分から受診することが少なく、適切な治療を受けていない患者が多く存在しており、引きこもりの原因となってしまう場合もあります。

症状の波はあっても、数年以上、ときには30〜40年も慢性的に継続し、自然に治ることはほとんどありません。不安や恐怖のために、他の不安障害やうつ病、双極性障害、アルコールや薬物依存など他の精神病が後から合併することも少なくありません。

治療は通常の社会生活が送れるようになることを目標とします。認知行動療法(呼吸法やリラックス法などの不安対処技能訓練、会話の切り出し方・続け方、適切なアイコンタクトの取り方などの社交技能訓練など)と選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の内服が効果的とされています。


強迫性障害

強迫性障害は不安障害の一型です。病態は、強迫観念(自分でも無意味で不適切とわかっていて無視や抑制を試みても、絶えず心を占める思考や衝動、イメージ)と強迫行為(高まる不安を緩和、打ち消すために、不合理性や過剰性を自覚してやめたいと思いながらも、駆り立てられるようにしてしまう行為)が特徴的です。

強迫観念の内容は様々で、通常は特定の強迫行為を伴います。具体例としては、排泄物や細菌、汚れに関する心配に対して手洗いなどの洗浄行為を執拗に行う、泥棒や火事の心配に対して外出前に施錠や火の元の確認を延々と繰り返す、などが挙げられます。

診断のためには、強迫観念または強迫行為にくわえ、これらによって著しい苦痛や1日1時間以上の時間の浪費、日常的・社会的機能の障害、経過中のある時点では自分の症状の不合理性を認識していること、が必要となります。

主な治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)をメインとした薬の内服と認知行動療法です。さらに、病気自体の内容、治療や対処法について、本人や家族などに十分な理解を促す心理教育も、治療の動機づけを高めて、周囲からの理解や支持を得ることができ、安定した治療環境を築けるため重要となります。


統合失調症

統合失調症とは、知覚・思考・感情・意思・欲動知覚など広い範囲の精神機能の障害です。自分の考えや気持ちを状況に合わせてコントロールしたり、 まとまった行動をしたりすることが難しくなる病気で、医療機関で専門的な治療を行う代表的な精神疾患のひとつです。

厚生労働省による調査(平成20年)では、治療のために約80万人が精神科の医療機関で統合失調症の外来診療を受けていると報告されています。統合失調症にかかる確率は約120人に1人と推測され、決して珍しい病気ではありません。 10〜20代の比較的若い年齢層で発症することが多く、治療しなければ悪化の一途を辿ります。症状が進行すると、治療が困難となり不治のままになる可能性もあるため、本人の自覚がなくても周囲が異変を感じたら専門家に相談することが大切です。

原因にまだ解明されていないものの、神経発達障害により小児期からの認知機能や行動特性が形成され、発症早期にも脳構造の変化がくわわり、ドパミン(情報を伝える脳内の神経伝達物質)の過剰分泌、グルタミン酸の神経伝達異常によって、情報処理がうまくいかなくなるという説が支持されています。さらに体質的なもろさ、ストレス他、様々な要因が関与して発症するとされています。

症状は主に4つに分けることができます。全て認められるわけではなく、出現する症状には個人差があります。本人にとって、症状が病気によるものだと理解できないこともあります。

①陽性症状:幻覚、妄想、自我障害など
統合失調症の幻覚では、幻聴が大半を占め、幻視は少ないです。幻聴の多くは幻声(人の声)で、病気の初期には本人を罵倒・非難する内容や、脅し、「死ね」というような命令的内容が多いとされます。自分の考えが声となって聞こえる考想化声や、幻聴の主と会話できる対話性幻聴も特徴的です。自我障害は統合失調症に特徴的な症状で、自分の考えが周囲に伝わるという思考伝播や、他人の声や命令で自分の行動が操られるという作為体験などがあります。
②陰性症状:感情鈍麻、意識低下、思考内容の貧困化や社会的引きこもりなど
③認知機能障害:注意力・記憶力の低下、遂行機能障害など
④感情障害症状:抑うつ気分、不安、焦燥感、希死念慮(死ねたらいいのにと思うこと)

治療は、とにかく早期に開始することが重要です。早期改善と社会機能低下の阻止のためには、薬物療法と心理社会的治療のバランスが大切です。薬物治療は少量〜中等度の第2世代(非定型)抗精神病薬の内服で開始します。社会心理的治療は、社会的・職業的および生活機能の向上を目的として、個人療法(精神療法、服薬指導、認知行動療法など)、集団療法(レクリエーション療法、作業療法、社会生活技能訓練など)、家族療法などがあります。その他、薬物療法が無効な緊張病症状、自殺や他害の危険が迫っているとき、身体の合併症のために有効な薬物療法が行えないときなどには、電気けいれん療法(ECT)が適応となります。


摂食障害(過食症・拒食症)

摂食障害は、大きく拒食症と過食症の2種類に分けられます。正反対の症状のように思えますが、拒食症から過食症へ、または過食症から拒食症へと移行する場合が多く、主な原因がストレスで、若い女性に多くみられることも共通しており、病気のステージが異なるだけで同一の疾患と考えられています。拒食症と過食症を区別するためには、正常最低限体重を維持しているかどうかが目安となります。

過度のダイエットだけが原因ではなく、人間関係に関する心理的ストレスやコミュニケーション障害なども原因とされています。また、家庭環境・家族との関係・個人の性格が影響することも多く、特に、人格基礎の形成期(2〜5歳くらい)に母親からの愛情が十分でないと感じた経験や、暴力的な父親やアルコール中毒などのアダルトチルドレンの両親に育てられた環境があると摂食障害を起こしやすくなるようです。

治療としては、カウンセリング、食事や生活の指導、認知行動療法と対人関係療法をメインとし、うつや不安などに対しては抗うつ薬の内服が行われることもあります。


過食症

 ストレスなどがきっかけとなります。一度に大量の暴食をする過食発作を起こし、そのことを後悔して落ち込み、さらにストレスを感じます。過食した後には、太ることを恐れて、自然に吐いてしまったり自ら嘔吐を誘発したり(過食嘔吐)、下剤を使用したりすることで食べたものを排出しようとする行動を取ります。我慢していたものを口にしたことがきっかけで過食が始まる場合が多く、やせては太るというリバウンドを繰り返します。自分で食欲をコントロールできないという自己嫌悪から、少しずつうつ状態になることも少なくありません。


拒食症

 ストレスによる食欲低下や、やせたいという願望、肥満に対する恐怖などが原因となります。太ることを恐れて食べることを極端に減らし、客観的にはやせすぎているにも関わらず、低体重を維持しようとします。長期間続くと、栄養失調、無月経などの月経異常、貧血、低血圧、低体温、体毛の増加などの身体的症状が現れます。自己意識の偏りがみられ、特有のゆがんだボディイメージを持っており、体重の許容限度をかなり低く設定しています。自分が病気だとは認めたがらないことが多いので、家族や周りの人の協力が必要です。

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